水筆用紙とは
水筆用紙(すいひつようし)とは、水を媒介させることで一時的に発色し、乾燥すると元の状態に戻る紙素材のことです。一般的な筆記用紙と異なり、インクやトナーを使用せず、水分のみで書く・描くことができる反応型の機能紙として知られています。
紙の表面には特別な加工が施されており、微細な凹凸や層構造によって光を反射・透過させています。
このため、水分が加わることで光の反射状態が変化し、色やデザインが一時的に「現れる」または「消える」など、見え方が変わるのが特徴です。
乾燥すると再び光の反射が元の状態に戻り、初期の色調やデザインが再現されるため、何度でも繰り返し使用することができます。
もともとは、書道や習字の練習用として開発された「水で書ける教材紙」から始まりましたが、現在ではその水分反応による光学的変化を利用した“表示機能”が注目され、検知・評価・試験などの産業用途にも採用が広がっています。
水筆用紙は、こうした水分反応型の表示機能をもつ「表示基材」の一種であり、「水で変化を可視化できる紙素材」として教育・研究など分野で活用されています。
仕組みと特長
仕組み

水筆用紙の色の変化は、化学反応ではなく光の性質を利用した物理的な変化によるものです。
水がしみたときと乾いたときで光の反射のしかたが変わることで、色が出たり消えたりします。
変化の様子(直後から消えるまで)



水筆用紙(表示基材)のコーティング層は、吸水と乾燥を繰り返しても劣化しにくい構造を採用しています。
一般的な感湿紙(湿度や水分に反応して色が変わる化学反応型の紙)のように反応層が消耗することがないため、光学的な屈折変化だけで表示を再現します。このため、メーカー公表値では、約500回程度の繰り返し使用が可能です。 ※使用環境により変動
主な特長
- 水のみで書ける(インク・トナー不要)
- 約500回程度の繰り返し使用が可能
- 印刷・打ち抜きなどの加工が可能
- 紙素材のため廃棄・リサイクルが容易
- 教育から産業用途まで幅広く応用可能
教育・販促分野での用途|安全で繰り返し使える
教育・学習用途
もともとは書道や習字の練習用として開発され、水だけで何度も書き直せる教材用紙として利用されています。
汚れやインクを気にせず、繰り返し練習できる点が評価されています。
習字練習用キット/文字・数字学習用紙

水をつけた筆などで紙の表面に絵や文字を書くと、はっきり浮かび上がって見えます。紙の表面が乾くと絵や文字は跡形もなく消え、繰り返し使用することが可能です。学習教材をはじめ、様々な用途が考えられます。
商品名:水でお習字セット
会社名:株式会社 呉竹
販促・体験型デザイン用途
近年では、販促やデザインの分野でも活用が広がっており、視覚的な変化を楽しむ体験型プロモーションツールとして注目されています。
コースター

飲み物を入れたグラスを置くと、水滴がしみて色が変わる仕掛け。
ステッカー

濡れると文字や絵が浮かび上がる演出。
産業分野での活用例|検知・評価・表示用途
この水分による発色と消色の仕組みを応用し、水分の付着や乾燥状態を確認する検査基材・評価用シートとしても利用されています。
医療や介護の現場でも、水分変化を目視で確認できる簡易的な可視化ツールとして応用の可能性があります。
検知・評価・表示用途
検査基材

肌から取った皮脂量を調べるための検査基材にも活用されています。
水筆用紙は、水分による光学的な反射特性の変化によって発色と消色を繰り返すという点が大きな特徴です。化学反応を伴わないため、再使用性・コスト効率・環境適合性に優れています。
選定時のチェックポイント
- 検知対象(水・結露・液体など)の種類と量
- 使用環境(温度・湿度など)
- 必要な発色の明度・持続時間
- 印刷・加工方法との適合性
- 試作段階での反応再現性・繰り返し性能
用途や評価条件によって適した基材タイプが異なるため、初期段階での確認が推奨されます。
| 製品名 | カラー | 規格(mm) |
|---|---|---|
| 水筆用紙CA | 赤・黒・緑 | 240×335 |
| 水筆用紙T | 赤・黒 | 900×600 |
| 急乾帳シリーズ | 赤・黒・緑・ピンク・ブルー | 500×700 |
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よくある質問
- 印刷はできますか?
-
はい。オフセット印刷をはじめ、一般的な印刷方式に対応しています。
文字やロゴ、図柄などの印刷も可能で、デザイン用途や販促ツールへの展開にも適しています。 - どんな加工ができますか?
-
水筆用紙は通常の紙と同様に切断・打ち抜き・貼り合わせなどの加工ができます。
コースターやステッカーなど、様々な形状への仕上げにも対応します。 - 何回くらい繰り返して使えますか?
-
およそ500回程度の繰り返し使用が可能です。
ただし、表面を強くこすったり削ったりすると劣化の原因となるため、使用方法や環境によって耐久回数は変動します。 - 水以外の液体でも発色しますか?
-
表面層に浸透するもの(透明)であれば、アルコール、油などの液体でも発色します。
- 他の素材にも加工できますか?
-
紙から不織布、プラスチック、無機金属などのシートにも、加工することができます。
- 安全性に問題はありませんか?
-
水筆用紙には重金属などの有害物質は含まれていません。
誤って触れたりなめたりした場合も健康への影響はありませんが、
念のため水で洗い流すなどの通常の対応を行ってください。
まとめ|教材から産業用途まで拡がる水反応型機能紙
水筆用紙は「水で書ける教材紙」として展開されながら、その光学的な水分反応技術を活かして、検知・評価・試験用途など、多様な分野への応用が進む機能紙です。再使用性・環境性・加工適性に優れ、教育・研究から産業用途まで幅広く活躍しています。
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