「環境に配慮した紙を使いたいが、種類が多くて自社に合うものが分からない」——そんな企業のご担当者に向けて、環境紙(環境配慮紙)を代表的な7タイプに整理しました。
環境紙は、古紙・間伐材紙・非木材紙・ECFパルプ紙・混抄紙・石灰石系(ストーンペーパー/LIMEX)・合成紙(ユポ)などに分かれ、「何が環境に良いのか」も、価格・印刷適性といった実務上の性質も、種類ごとに異なります。
このページでは代表的な7タイプを横断比較し、「目的から逆引き」で自社に合う環境紙と選び方が分かるように整理しました。用途に迷う場合は、無料でご相談いただけます。
- 環境紙とは何か(一般的な紙の「環境負荷」との違い)
- 代表的な7タイプを一覧で比較(環境面の特徴・価格感・印刷適性・用途)
- 「脱プラ対応」「オリジナルで作りたい」など目的から選ぶ逆引き
- 7タイプそれぞれの詳しい特徴・代表用途・注意点
- 費用・食品対応・小ロット・印刷品質など、よくある疑問への回答
- 用途に合う環境紙の選定・調達を無料で相談する方法
環境紙(環境配慮紙)とは
環境紙(かんきょうし)・環境配慮紙とは、環境に良い紙・環境に優しい紙・環境に配慮された紙を総称した呼び方で、原料の調達から製造・廃棄までの環境負荷を抑えることを目指した紙を指します。
ひと言でいえば「環境に配慮してつくられた紙」ですが、そもそも「普通の紙は環境に悪いのか?」という疑問が生まれます。これを理解するために、まず一般的な紙ができるまでの流れを「環境負荷」の視点で見てみます。
一般的な紙ができるまで(環境負荷視点)
① 森林の伐採:紙の主原料は木材です。
② CO2の排出:製造過程で燃料や電気を大量に使用し、CO2が排出されます。
③ 薬品の使用:木材から紙の繊維(パルプ)を取り出すため、また取り出した繊維を白くするために、薬品を使います。
④ 大量の水の使用:製造過程で大量の水を使い、③で使った薬品を洗い流す必要もあります。
①〜④の工程により、森林を消費し、エネルギー使用でCO2を排出し、多量の薬品と水を使うため、結果として環境負荷につながります。こうした負荷を減らすために、製造工程を工夫したり、木材以外の原料や再生原料を使ったりと、さまざまな取り組みが行われています。そうした原料の工夫や製造工程の改善から生まれた紙を、まとめて環境紙(環境配慮紙)と呼びます。
環境紙は、環境負荷のどこに着目するかによって種類が分かれます。森林資源の保護を重視したもの、漂白など製造工程の負荷低減を重視したもの、そもそも木材を使わない素材に置き換えたものなど、アプローチは環境紙ごとに異なります。次の早見表で全体像をつかんでください。
環境紙 早見表(代表的な7タイプ比較)
代表的な7タイプの環境紙を、環境面の特徴と実務上の性質で横断比較します。価格・印刷適性・用途は目安であり、具体的な銘柄やロットにより異なります。
| 種類 | 環境面の特徴 | 価格感(目安) | 印刷適性 | 代表用途 |
|---|---|---|---|---|
| 古紙(再生紙) | 使用済みの紙を回収・再利用。森林資源の保護につながる | 一般的な紙と同等程度 | 一般的な紙と同様に印刷可能。白色度(紙の白さ)はやや低め | 新聞・雑誌・段ボール・菓子箱・コピー用紙 など |
| 間伐材紙 | 森林を健全に保つため間引いた間伐材を活用。間伐の推進が森林保全につながる | 一般的な紙と同等程度 | 一般的な紙と同様に印刷可能 | 名刺・はがき・封筒・コピー用紙・パンフレット など |
| 非木材紙 | 木材以外の植物(ケナフ・バガス・竹 等)を原料に使用。森林資源の保護につながる | やや高めのケースが多い | 原料により異なる | 名刺・封筒・菓子箱・パッケージ など |
| ECFパルプ紙 | 無塩素漂白パルプを使用。漂白工程での塩素化合物の排出を抑える | 一般的な紙とほぼ同等 | 一般紙と同等 | コピー用紙・上質紙・ノート・封筒・冊子/パンフレット など |
| 混抄紙(こんしょうし) | 木材パルプに副産物・端材などを漉き込む。資源循環・独自性を両立 | 素材・ロットにより異なる(要見積) | 素材により異なる | 名刺・ショップカード・パンフレット など |
| 石灰石を主原料とする環境紙 (ストーンペーパー/LIMEX) |
石灰石由来の炭酸カルシウムが主原料。木材・水をほぼ使わず、プラスチックの代替になる(脱プラ) | 一般的な紙よりやや高めのケースが多い | オフセット印刷可。コピー機や高温(約110℃)には不向き | 手提げ袋・地図・屋外広告・名刺・メニュー・コースター・パッケージ など |
| 合成紙(ユポ) | ポリプロピレン(樹脂)と無機充填材が主原料。木材パルプを使わず、耐水用途でのプラフィルム代替になる | 一般的な紙よりやや高めのケースが多い | オフセット印刷可。水に強く印刷がはがれにくい | 屋外ポスター・ラベル・飲食店メニュー・投票用紙 など |
※ 各タイプとも、小ロット・オリジナル作成の可否や食品用途への適合は、商品の種類・サイズ・仕様により異なります。詳しくは用途をお伺いのうえご提案しますので、お問い合わせください。
目的から選ぶ(逆引き)
「どの紙が良いか」ではなく「何を実現したいか」から選ぶと、絞り込みやすくなります。代表的な目的ごとに、候補となる環境紙を挙げます。
用途をお伺いして最適な環境紙をご提案します。
環境紙の種類|代表的な7タイプの詳細
環境紙のなかでも代表的な7タイプを、それぞれの特徴と代表用途とともに紹介します。並び順は「① 古紙(再生紙)→ ② 間伐材紙 → ③ 非木材紙 → ④ ECFパルプ紙 → ⑤ 混抄紙 → ⑥ 石灰石を主原料とする環境紙(ストーンペーパー/LIMEX)→ ⑦ 合成紙(ユポ)」です。前半は森林・木材の使い方に着目した紙、ECFパルプ紙は製造工程の工夫、後半は木材以外の素材に着目した紙、という流れで、環境への配慮の仕方が近いものを隣り合わせにしています。
古紙とは、一度市場に流通し家庭や企業で使われた紙のことで、これを原料に製造した紙が再生紙です。新聞紙・雑誌・段ボールなどに広く使われており、私たちが普段使う一般的な紙も再生紙として再利用できます。ゴミとして処分せず資源として回収・再利用することが、森林資源の保護や環境保全につながります。一方で、白色度がやや低くなる、印刷適性・耐久性が用途により劣る場合があるため、綺麗な印刷を要する用途では一般紙と使い分けるのがおすすめです。
価格感:一般的な紙と同等程度 | 印刷適性:一般的な紙と同様に印刷可能。白色度(紙の白さ)はやや低め
間伐材紙(間伐紙)は、森林を健全に保つために間引いた木材(間伐材)を原料に活用した紙です。森林は木々が過密になると日光が地表に届かず健全に育ちにくくなりますが、計画的に間伐を行うことで、残った木や下層植生の生育が促され、水源の維持・土砂災害の防止・生物多様性の保全といった森林の働きが高まります。間伐材を使った紙を選ぶことは、この間伐の推進、ひいては森林保全を後押しすることにつながります。市販の主流品は、コピー用紙や上質紙のような一般的な印刷・筆記用紙(つや出し加工のない非塗工紙)に間伐材の繊維を配合したもので、グリーン購入法適合品もあります。名刺・はがき・封筒・コピー用紙・パンフレットなどに使われています。
価格感:一般的な紙と同等程度 | 印刷適性:一般的な紙と同様に印刷可能
非木材紙とは、針葉樹・広葉樹などの木材を使わず、それ以外の植物や繊維を原料としてつくられる紙の総称です。森林資源の保護(過剰伐採の軽減)やCO2排出抑制の観点から、環境負荷の低い素材として注目されています。原料には主にケナフ・バガス(サトウキビの搾りかす)・竹・コットン・藁などが使われ、どの原料を選ぶかで風合いや特徴が大きく変わります。普通の紙にはない独特の風合いを持つ反面、流通量が木材パルプより少なく、価格がやや高めになるケースが多い点は理解しておく必要があります。
価格感:やや高めのケースが多い | 印刷適性:原料により異なる
ECFとは「Elemental Chlorine Free(無塩素漂白)」の略で、塩素ガスを使わずに漂白したパルプのことです。環境負荷が少ないことから「エコパルプ」とも呼ばれます。白色度の高い紙をつくるにはパルプの漂白が必要ですが、従来の塩素ガスによる漂白では、焼却時などにダイオキシン類の有害な塩素化合物が発生する問題がありました。ECFは塩素ガスを使わず二酸化塩素などで漂白するため、こうした有害な塩素化合物の発生を大きく抑えられ、環境負荷の低減につながります。
価格感:一般的な紙とほぼ同等 | 印刷適性:一般紙と同等
紙は通常ほぼ木材の繊維(パルプ)だけでつくられますが、混抄紙は木材パルプに別の素材を漉き込んだ紙です。ヨシ・バナナ・カカオ・玉ねぎやピーナッツの皮・コーヒー粕・ビールの搾りかす・デニムやレーヨンの端材など、廃棄物や副産物を活用できるため、資源循環と木材使用の削減につながります。自社の副産物やブランドにちなんだ素材を漉き込めば、環境・SDGsを打ち出せるオリジナルの名刺・ショップカード・パンフレットをつくれます。ただし何でも混ぜられるわけではなく、素材による制約があり、価格・ロット数・納期は事前確認が必要です。
価格感:素材・ロットにより異なる(要見積) | 印刷適性:素材により異なる
混抄紙・特定の素材を混ぜた紙の詳細を見る ▶石灰石由来の炭酸カルシウムを主原料とする環境紙です。代表的なものにストーンペーパーとLIMEX(ライメックス)があり、いずれも木材や水をほとんど使わずに製造でき、紙の弱点である「水」に強い耐水性・耐久性を備えます。組成の一部にはプラスチック(樹脂)も含まれますが、石灰石を主原料とすることで木材・石油由来樹脂の使用を抑えられ、脱プラの文脈でも選ばれています。機能紙選定ナビではストーンペーパー・LIMEXのどちらも取り扱っており、素材のご提供から製品への加工まで対応しています。手提げ袋・地図・屋外広告・名刺・メニュー・コースター・パッケージなどに活用されています。
価格感:一般的な紙よりやや高めのケースが多い | 印刷適性:オフセット印刷可。コピー機は使用不可、インクジェット・接着剤は機種/銘柄の選定が必要、高温(約110℃)に弱い
LIMEX(ライメックス)の詳細を見る ▶ユポは、ポリプロピレン(樹脂)と無機充填材を主原料とする合成紙です。木材パルプを使わず、森林資源の保護を目的に開発された紙で、耐水性・耐久性に優れ、屋外ポスター・ラベル・飲食店メニュー・投票用紙などに広く使われています。ここまでの環境紙とは異なり主原料はプラスチックですが、木材を使わない点や、適正に廃棄・リサイクルすれば環境負荷を抑えられる点から、環境の観点で語られることのある素材です。石灰石系(ストーンペーパー・LIMEX)とは主原料が異なるため、用途に応じて使い分けます。
価格感:一般的な紙よりやや高めのケースが多い | 印刷適性:オフセット可/水に強く印刷がはがれにくい
耐水紙 ユポの詳細を見る ▶環境紙とSDGsの関係
SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで採択された、2016年から2030年の15年間で達成を目指す国際目標です。17の目標と169のターゲットで構成され、「環境」「経済」「社会」の3領域で課題解決を目指します。環境紙は、このうち特に2つの目標と深く関わります。
目標15「陸の豊かさも守ろう」
森林資源の保護に関わる環境紙が該当します。木材以外の原料を使う非木材紙、間引いた間伐材を活かす間伐材紙、副産物・端材を漉き込む混抄紙、使用済みの紙を再利用する古紙(再生紙)は、いずれも木材使用の削減・資源循環・適切な森林管理を通じて陸の生態系の保全につながります。
目標14「海の豊かさを守ろう」
脱プラスチックに関わる石灰石を主原料とする環境紙(ストーンペーパー・LIMEX)が該当します。プラスチックの使用量を抑え、海洋プラスチック問題の緩和に寄与する素材として、プラスチック単体の製品からの切り替えの選択肢になります。
環境紙 メリット・デメリット・用途
早見表で概観した代表的な7タイプについて、活用時のメリット・デメリットと用途を補足します。価格感・印刷適性は早見表と重複するため、ここでは採用判断に関わるポイントに絞ります。
古紙(再生紙)
メリット:使用・回収を繰り返せるため森林資源の保護・環境保全に役立ち、「リサイクル」として一般に認知されやすい。
デメリット:白色度(紙の白さ)はやや低めで、真っ白な仕上がりや鮮やかな発色を求める用途には一般紙のほうが向く。古紙の配合率や品質は銘柄により差がある。
用途:新聞紙・雑誌・段ボール・菓子箱・トイレットペーパー・コピー用紙 など。
間伐材紙
メリット:間伐材の活用が間伐の推進・森林保全を後押しする。木のぬくもりのある風合いを持ち、環境配慮を分かりやすく訴求できる。
デメリット:間伐材の配合率や仕様は銘柄により異なるため、用途に合うものを確認する必要がある。厚みや色味の選択肢は限られる場合がある。
用途:名刺・はがき・封筒・コピー用紙・パンフレット など。
非木材紙
メリット:木材を使わないため森林資源の保護につながり、目標15にも該当。原料ごとに独特の風合いがあり、環境配慮を印象づけやすい。
デメリット:流通量が少なく製造コストが高くなりやすい。認知度が高くないため、社内外への説明が必要になる場合がある。
用途:名刺・封筒・菓子箱・パッケージ など。
ECFパルプ紙
メリット:一般的な紙とほぼ同等の価格・印刷適性のまま、漂白工程の環境負荷を抑えられる。切り替えのハードルが低い。
デメリット:国内の印刷・筆記用紙で広く標準的に使われているため、それ自体が強い差別化にはなりにくい。漂白工程では薬品・水を使うため、環境負荷がゼロになるわけではない。
用途:コピー用紙・上質紙・ノート・封筒・冊子/パンフレット など。
混抄紙
メリット:副産物・端材を活用でき、資源循環と独自性を両立。自社素材を漉き込んだオリジナルで環境・SDGsを訴求できる。
デメリット:混ぜられる素材に制約があり、価格・ロット・納期は事前確認が必要。
用途:名刺・ショップカード・パンフレット など。詳細は混抄紙の専門ページをご覧ください。
石灰石を主原料とする環境紙(ストーンペーパー/LIMEX)
メリット:木材・水をほとんど使わずに製造できる。耐水性・耐久性があり、プラスチックの代替になる(脱プラ・目標14に寄与)。
デメリット:日本ではリサイクル環境が未整備で、多くの場合可燃ごみとして処理。認知度の面から一般的な紙より高価なケースが多い。
用途:手提げ袋・地図・屋外広告・名刺・メニュー・コースター・パッケージ など。LIMEXの詳細は専用ページをご覧ください。
合成紙(ユポ)
メリット:木材パルプを使わず、耐水性・耐久性が高い。屋外や水回りでも劣化しにくく、繰り返しの使用に耐える。
デメリット:主原料はプラスチック(ポリプロピレン)のため、脱プラの観点では石灰石系ほどの効果は期待できない。廃棄は自治体のプラスチック区分に従う必要がある。
用途:屋外ポスター・ラベル・飲食店メニュー・投票用紙 など。詳細は耐水紙 ユポの専用ページをご覧ください。
「環境紙を使った商品をつくりたい」
——用途をお伺いのうえご提案します。
よくあるご質問(FAQ)
環境紙のなかで費用を抑えやすいのはどれですか?
食品に使える環境紙はありますか?
環境紙は小ロットやオリジナルで注文できますか?
環境紙は普通の紙と印刷品質が変わりますか?
環境紙のサンプルはもらえますか?
使い終わった環境紙はどのように廃棄・リサイクルすればよいですか?
環境紙の導入を考えている企業様へ
製品設計・開発担当者の方へ
製品設計・開発担当者様の用途やご要望に合わせ、弊社が取り扱う環境紙の中からお客様に合う紙をご提案し、運用に関するご相談・ご質問もお受けします。
このようなお悩みの方へ最適な環境紙をご提案
資材・購買・調達担当者の方へ
機能紙選定ナビは、さまざまな業界に「紙」の納品実績を持つ田村商店が手掛ける、機能紙の情報発信を目的とした課題解決型サイトです。資材・購買・調達担当者様の下記のようなお悩みに、最適な紙をご提案します。
安定調達・供給リスク回避のご相談
環境紙選びで迷ったら、お気軽にご相談ください
機能紙選定ナビでは、今回ご紹介した代表的な7タイプ以外にも、さまざまなメーカーの環境紙を取り扱っています。ご所望の環境紙があれば、お問い合わせフォームよりお知らせください。改めて弊社営業よりご提案いたします。
例:自社のコンセプトに合う環境紙の選定 / 環境紙を活用した商品の作成 / 環境紙の上手な利用方法 など
機能紙選定ナビを運営する株式会社田村商店は、1753年の創業以来ずっと「紙」に携わってきました。これまで築いてきた歴史と経験で皆様をサポートします。
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