油に強い紙 耐油紙とは?
耐油紙とは、油を通しにくい・油がしみるのを防ぐ・油をはじくなど、油に強い特性(耐油性)をもたせた紙の総称です。食品の包装や工業製品の保護など、油を扱う幅広い場面で使われています。
一般的な紙は木材パルプを主原料としており、油が触れると繊維のすき間に染み込み、やがて裏側まで、にじんでしまいます。耐油紙は、この油の染み込みを防ぐために特別な加工を施した紙です。加工の方法にはいくつかの種類があり、フィルムを貼り合わせるもの、フッ素系の薬剤を使うもの、フッ素を使わずに紙の繊維を緻密にしたり非フッ素の薬剤を用いるものなどがあります。近年は、環境や人体への影響が指摘されるフッ素(PFAS)を使わない「非フッ素(フッ素フリー)」タイプが選ばれることが増えています。
どの方式を選ぶかで、耐油の効き方・印刷のしやすさ・環境への配慮・価格が変わります。
まずは「耐油紙とは油の染み込みを防ぐ加工紙であり、複数の方式がある」という点を押さえておくと、選ぶときに迷いません。
動画と実演でわかる耐油紙の仕組み
耐油紙が一般的な紙とどう違うのか、まずは動画と実演でご覧ください。
\ 耐油紙について “2分” で簡単解説 /
\ 耐油紙について “2分” で簡単解説 /
油を垂らして比べてみました

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一般的な紙に油を垂らすと、時間が経つにつれて油が繊維に染み込み、やがて紙の裏側までにじみ出してきます。下に敷いた紙にも油染みが広がっていきます。
一方、耐油紙に同じように油を垂らしても、下に敷いた紙への油の染み出しは見られませんでした。紙の表面や繊維の構造で、油の浸透を抑えているためです。
このように、耐油紙は油を通しにくくすることで、包装紙や敷き紙として油漏れを防ぎます。ただし、耐油の効き方は方式・使用環境・油の温度や種類によって差が出るため、実際の用途に近い条件で確認しておくと安心です。
耐油紙のメリット・デメリット
耐油紙には、用途に応じたメリットがある一方で、方式によっては注意すべき点もあります。無理に紙が向かない用途へ使うのではなく、特性を理解して選ぶことが大切です。
耐油紙のメリット
油に強く、方式によっては水にも強い 耐油紙は油の染み込みを防ぐため、揚げ物や油分の多い食品の包装・敷き紙に適しています。方式によっては耐水性もあわせ持ち、テイクアウト容器や冷凍・冷蔵食品のパッケージにも使われます。
用途に合わせて選べる幅が広い
薄手の敷き紙から厚手の板紙(容器・カートン向け)まで、坪量や形態のバリエーションがあります。印刷適性の高いものを選べば、社名や取扱い表示を印刷することもできます。
脱プラ・リサイクルに対応した方式がある
フィルムを貼り合わせないタイプ(非フッ素の紙単体で耐油性を発現するものなど)は、プラスチックの使用を抑えられ、紙としてリサイクルできる製品もあります。プラスチック容器やラミネート紙からの置き換えとして注目されています。
耐油紙のデメリット
耐油紙にはいくつか注意点もありますが、方式や製品の進化によって改善されているものもあります。
方式によって環境への配慮が異なる
フィルムをラミネートしたタイプは油を通さない性能が高い一方、プラスチックを含むためリサイクル性に劣ります。フッ素樹脂を使うタイプは、環境中で分解されにくい物質(PFAS)が問題視され、食品包装を中心に規制の対象となりつつあります。「耐油紙だから環境にやさしい」と一括りにはできず、方式ごとに異なる点に注意が必要です。環境対応を重視する場合は、非フッ素・非フィルムのタイプを選ぶ流れが強まっています。
折り目・加工部で性能が下がる場合がある
表面だけに耐油剤を塗る「塗工タイプ」は、折り目や罫線部分で耐油性が下がることがあります。製函や折り加工を伴う容器には、紙層全体に耐油性をもたせた「内添(全層付与)タイプ」が向きます。
加熱対応は製品ごとに異なる
電子レンジやオーブンに使えるかは紙種によって異なり、対応品でも「温め程度」など条件が付く場合があります。加熱を伴う用途では、耐熱性の条件もあわせて確認が必要です。
耐油紙の用途
耐油紙は、油に強い性質を活かして食品・工業の両分野で使われています。
食品用途
ファストフード・揚げ物の包装や敷き紙に
フライドポテト、ドーナツ、から揚げ、コロッケ、ハンバーガーなど、油分の多い食品の包装・敷き紙・袋として使われます。油漏れを防ぎながら、方式によっては通気性を保ち、揚げ物の食感を守るものもあります。
菓子・スイーツの包装に
カステラ、チョコレート、ケーキ、ドーナツなどの台紙・間仕切り・内箱・カートンに使われます。
冷凍・冷蔵食品や弁当の容器に
冷凍・冷蔵食品のパッケージ、弁当箱の容器、バター・マーガリン・固形コンソメの包装などにも使われます。電子レンジ加熱に対応した製品もあります(対応可否は紙種により異なります)。
食品の「容器・包装そのもの」をお探しの場合は、食品対応紙のページもあわせてご覧ください。加熱調理を伴う場合は耐熱紙のページもご参照ください。
工業用途
食品以外でも、油の染み出し防止や部品の保護に使われます。機械部品から出る油の染み出しを防ぐ合紙・保護紙、部品の一時置き場の敷き紙、油分を含む工業製品の包装などが代表例です。部品を耐油紙で包んで保管しておくことで、作業環境・衛生面の維持に役立ちます。
耐油紙の種類と選び方の基本
耐油紙は「どのメーカーの何という品番か」よりも、まず油を防ぐ仕組み(方式)で大きく分けて考えると、方向性が定まります。
耐油紙の種類
耐油紙は、耐油性を付与する方式によって、主に次のように分かれます。
- フィルムラミネート型:
紙にフィルムを貼り合わせるタイプ。
油を通さない性能は高い一方、プラスチックを含むためリサイクル性に劣ります。 - フッ素樹脂型:
フッ素系の薬剤で油をはじくタイプ。
薄手で軽いものの、PFAS規制の対象となりつつあり、今後の調達リスクに注意が必要です。 - 非フッ素型(繊維緻密/塗工・内添):
フッ素もフィルムも使わず、紙の繊維を緻密にしたり、非フッ素の耐油剤を塗工・抄き込みするタイプ。
脱プラ・PFAS対応の観点から選ばれることが増えています。
耐油紙の選び方
耐油紙を選ぶときは、次のポイントを順に考えると絞り込めます。
- 食品に直接触れるか:食品用途か、工業・非接触用途か。
- フッ素(PFAS)を避けたいか:規制やブランド方針を見据えるなら非フッ素タイプ。
- 薄手の敷き紙・包装か、厚手の容器・カートンか:必要な厚み・成形の有無で選ぶ。
- 加工方法:折り・製函があるなら折り目に強い内添タイプ、ラミネート紙の置き換えならヒートシール対応タイプなど。
どのメーカーのどの製品が自社の用途に合うか、PFAS対応(非フッ素)の現行品を含めた具体的な比較は、こちらの記事で詳しく解説しています。

▶本記事では、メーカー別の現行品・比較表・よくある質問まで掲載しています。
まとめ
耐油紙は、油の染み込みを防ぐ加工を施した紙で、食品包装から工業用途まで幅広く使われています。ただし「耐油紙」とひとくくりにいっても、フィルム型・フッ素型・非フッ素型など方式によって、耐油の効き方・環境への配慮・加工適性・価格が異なります。
まずは動画と実演で仕組みをつかみ、次に「食品か工業か」「フッ素を避けるか」「薄手か厚手か」といった観点で方向性を決めるのが、失敗しない選び方の第一歩です。具体的な製品の比較・選定は、種類・選び方とPFAS対応品を解説した記事へお進みください。
なお、ご要望をうかがったうえで紙が最適でないと判断した場合は、その旨も正直にお伝えします。無理に紙をおすすめすることはありません。
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